マイホームを購入した際、一定の条件を満たした場合に所得税の還付が受けられる「住宅ローン控除」。
住宅ローンを組んで家を購入をしても、自動的に住宅ローン控除が受けられるわけではありません。
所得税の還付を受けるためには、初年度に確定申告を行う必要があります。
そこで、どのような手続きが必要なのか分からないという方のために、初年度の確定申告に関する手順と必要書類についてご紹介します。
「住宅ローン控除」初年度は確定申告が必要!
■住宅ローン控除とは
■確定申告の手続き
1.申告期間
2.申告先
3.必要書類の準備
4.確定申告書の作成
■申請スケジュール
■もし間に合わなかったら…?
■2年目以降の手続き
■注意点
1.ふるさと納税との併用
2.その他の控除との併用
3.計画的な寄付設定をしよう
■まとめ
住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、年末時点での住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除される制度で、新築や中古住宅の購入、増改築などが対象となります。
例えば、3,000万円の借入残高がある年であれば、「3,000万円×0.7%=21万円」が、所得税から控除されます。
控除期間は、購入する住宅の種類によって異なります。
[控除期間]
新築・買取再販住宅 最長13年
中古住宅 10年
※買取再販住宅…宅地建物取引業者が住宅を買い取り、一定の期間内に一定の増改築を行い販売した住宅のこと。
確定申告の手続き
手続きの流れとしてはまず、住宅ローン控除を受ける最初の年に確定申告をします。会社員の場合も同様に確定申告が必要です。
なお、確定申告が必要なのは1年目のみで、2年目以降は年末調整が出来ます。
1.申告期間
確定申告は、住宅ローン控除を受ける年の翌年の2月16日~3月15日までに行います。
例えば、2024年に新築住宅を購入し、その年中に居住した場合、2025年の2月16日~3月15日が申告期間となります。
[申告期間]
住宅ローン控除を受ける年の翌年2月16日~3月15日まで
2.申告先
確定申告の住所地を管轄する税務署で手続きを行います。
管轄の税務署は国税庁のホームページから確認しましょう。
税務署には直接訪問するか、郵送またはe-Tax(電子申告)を利用して提出できます。
3.必要書類の準備
確定申告には以下の書類が必要です。
[必要書類]
①確定申告書(A): 国税庁のウェブサイトから取得
②住宅借入金等特別控除額の計算明細書: 税務署または国税庁のウェブサイトから取得
③本人確認書類: マイナンバーカードや運転免許証のコピー
④源泉徴収票: 勤務先
⑤住宅ローン年末残高証明書: 金融機関から送付されます。
⑥登記事項証明書: 法務局で取得
⑦売買契約書または工事請負契約書の写し: 工務店や不動産会社
4.確定申告書の作成
必要な書類が揃ったら、確定申告書と計算明細書を作成します。
住宅ローンの年末残高や住宅の取得価格、自己居住部分の面積を基に控除額を計算し、申告書に記入します。
[必要書類]
①確定申告書(A): 国税庁のウェブサイトから取得
②(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書: 税務署または国税庁のウェブサイトから取得
③マイナンバーが記載された本人確認書類::マイナンバーカードや運転免許証のコピーが必要です。
④源泉徴収票:給与所得者の場合、12月末から翌年1月あたりに勤務先から発行されます。
⑤住宅ローン年末残高証明書:住宅ローンの初年度は、翌年1月下旬頃に金融機関から送付されます。(通常は10~11月頃)
⑥登記事項証明書:居住地を管轄する法務局で取得します。インターネット「かんたん証明書請求」から請求し、窓口受取・郵送を選ぶ事も可能。
⑦売買契約書または工事請負契約書の写し:住宅購入時に交わした契約書。※土地を購入して新築する場合は、「土地の売買契約書」と「建物の工事請負契約書」の両方のコピーが必要です。
その他の書類
長期優良住宅や低炭素建築物に該当する場合など、上記以外に準備が必要な書類があります。
■ 長期優良住宅に該当する場合
長期優良住宅建築等計画の認定通知書のコピー
住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
■ 低炭素建築住宅に該当する場合
低炭素建築物新築等計画認定通知書のコピー
住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
■ 長期優良住宅・低炭素住宅に該当する
住宅用家屋証明書のコピー
住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
もし無いという場合は、市町村の税務課で発行可能です。手数料は、おおよそ1300円です。(市町村によって異なる)
■ ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の場合
省エネルギーの性能を証明する、以下のいずれかの書類が必要です。
A 建築士等が作成する住宅省エネルギー性能証明書の原本
B 登録住宅性能評価機関が作成する建設住宅性能評価書の写し
住宅の引き渡し時に市区町村発行のものを不動産会社からもらえます。
■ 一定の築年数を超える中古住宅、買取再販住宅の場合
耐震基準の適合を証明する書類
昭和56年以前に建てられた(旧耐震基準)の場合はこの書類が必要です。
■ 住宅の取得日の前2年以内に取得した耐震基準への適合を証明した住宅の場合
以下のいずれかの書類が必要です。
a 建築士等が作成する耐震基準適合証明書[原本]
b 登録住宅性能評価機関が作成する建設住宅性能評価書[写し]
c 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書[原本]
■ 上記期間に耐震基準への適合証明を行っていない場合
耐震基準の適合証明が無い住宅の場合も、取得日の前までに耐震改修の申請を行い、入居日までに耐震改修によって耐震基準の適合が証明されれば、住宅ローン控除を受けることが可能です。
①は必須、②~⑤はいずれかの提出が必要です。
① 耐震改修に係る請負契約書[写し]※必須
② 建築物の耐震改修計画の認定申請書[写し]及び耐震基準適合証明書[原本]
③ 耐震基準適合証明申請書(又は仮申請書)[写し]及び耐震基準適合証明書[原本]
④ 建設住宅性能評価申請書(又は仮申請書)[写し]及び建設住宅性能評価書[写し](耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)に係る評価が等級1、等級2又は等級3であるもの)
⑤ 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書[写し](当該契約の申込日が記載されているものに限る)及び既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書(住宅瑕疵担保責任保険法人が引受けを行う一定の保険契約に限る。)
様々な書類があるため、必要な書類を不動産会社、住宅会社などに前もって確認しておきましょう。
申請スケジュール
[12月末~翌年1月]勤務先から源泉徴収票を受領
↓
[1月~2月]必要書類を集める
↓
[2月中旬~3月中旬]確定申告手続き
耐震基準の適合証明が無い住宅の場合は、取得日の前までに耐震改修の申請を行い、入居日までに耐震改修によって耐震基準の適合が証明されれば、住宅ローン控除を受けることが可能です。
[手続きの手順]以下のいずれかの手順で手続きを行います。
A 税務署から確定申告書を入手 → 記載 → 税務署に持参
B 税務署から確定申告書を入手 → 記載 → 税務署に郵送
C 税務署の確定申告書作成コーナーでe-taxを使用して確定申告書を作成 → 申請
D 国税庁のサイトから確定申告書を入手 → 記載 → 税務署に郵送
E 国税庁のサイト上で確定申告書を作成 → 印刷 → 税務署に郵送
F 国税庁のサイト上で確定申告書を作成 → インターネット(e-tax)で申請
もし間に合わなかったら…?
住宅ローン控除の還付申告は、控除が発生した翌年の1月1日から5年間の申告期限内に手続きをすれば控除を受けることがきます。
もし「間に合わなかった!」という場合には、諦めずに必要書類を揃えて管轄の税務署で手続きを行いましょう。
毎年確定申告を行う個人事業主の場合、最初の確定申告において住宅ローン控除を適用しなければ控除を受けられないという規定があるため注意しましょう。
2年目以降の手続き
給与所得以外の収入がない会社員は2年目以降の手続きには、確定申告の必要がないためかなり楽になります。
以下の必要書類を会社の年末調整の書類と一緒に提出するだけでOKです。
①給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書:住宅ローンの初年度に確定申告を行うと、10月頃に税務署から送付されます。
②住宅ローンの残高証明書:2年目以降は金融機関から10月~11月下旬頃に送付されます。
注意点
1.ふるさと納税との併用
確定申告を行う場合、ふるさと納税による寄付金控除が最初に適用され、その後に住宅ローン減税が適用されます。
このため、ふるさと納税によって所得税が減少すると、住宅ローン減税で受けられる控除額が減少する可能性があります。
住民税からの控除上限(前年課税所得の5%または最大97,500円)に達してしまうと、控除ロスが生じることがあります。
[対策]
ふるさと納税を行う際にワンストップ特例制度を利用すると、確定申告なしで住民税からのみ控除が受けられます。
この場合、住宅ローン減税には影響を与えず、両方の控除をフル活用できる可能性があります。
住宅ローン減税の[初年度]は、必ず確定申告が必要。この場合はワンストップ特例を利用できないので注意!
2.その他の控除との併用
医療費控除やiDeCo(個人型確定拠出年金)など他の控除と併用する場合も注意が必要です。
これらも所得から引かれるため、課税所得が減少し、その結果としてふるさと納税や住宅ローン減税の控除上限額が下がることがあります。
3.計画的な寄付設定をしよう
ふるさと納税の寄付上限額は年収や家族構成によって異なるため、自身の状況に応じた計画的な寄付額設定が重要です。
寄付上限額を超えると、その分は自己負担となり得ますので、シミュレーションツールなどを活用して正確な上限額を把握しておきましょう。
まとめ
住宅ローン減税は初年度のみ確定申告が必要かつ、会社員の場合は2年目以降は年末調整で手続きが可能です。
ふるさと納税など他の控除との併用については、計画的な寄付設定で控除ロスをなくしましょう。
つづく設計舎では、ご予算に合わせた自由設計の家づくりを行っています。
まだ予算が決まっていないという場合も、お気軽にご相談くださいね。